田中規矩士・たなかすみこ夫妻の記憶 β版

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58.寄稿「絶対音感といろおんぷ法について」1 にしきさゆり

1959(昭和34)年よりたなかすみこ先生の元で48年間アシスタントであったにしきさゆり氏が当ブログのために寄稿してくださいました。

にしきさゆり氏の独自見解もありますが、全文掲載いたします。長いことアシスタントであったので、おそらくたなかすみこ先生の見解と同じであろうと思います。

絶対音感習得の是非に関しては、いろいろと論議されています。「絶対音感不要」という意見も多く聞かれます。しかしたなかすみこ先生は「絶対音感があった方が良い」という考えでした。音楽をするのに「絶対音感ありき」という訳ではないと思いますが、ここでは不問とします。そして「絶対音感」に関する反論は申し訳ありませんが、受け付けないこととします。

そして音に色付けをすることにも反論があります。しかしこれはたなかすみこ先生が考案したものなので、それに関する反論も一切受け付けません。(管理人)

 

絶対音感といろおんぷ法について  にしきさゆり

子供と絶対音感

 

音には絶対高度というものがあります。その絶対高度を判別する能力が音感です。音感には絶対音感相対音感があります。絶対音感とは即座に高度を判別する能力です。相対音感とは、何か基準音を基に類推していく音感です。これは相当年齢を重ねても音への経験が多くあれば習得することが出来ます。それに対して絶対音感は「三つ子の魂百まで」と言われるように、3歳頃から急激に発達する脳の成長にしたがって音への経験を多くすれば自然と習得し始めて、脳の発達が少し鈍化してきた頃この能力も薄らいでいきます。大体3歳から7歳くらいまでです。それを過ぎると絶対音感習得は難しくなっていきます。

どのようなプロセスで脳にインプットしていくかは、脳科学の世界のことで、これから大いに研究されることでしょう。幼い子は物事を直感的にとらえますが、年齢が上がると論理的に考えるので、音を聴いても考えて答えを出すようになっていきます。

3歳半から7歳くらいまでが絶対音感習得の好機です。

絶対音感が必要か不必要か、未だにはっきりとした結論は出されていませんが、絶対音感があれば音への反応が機敏になり、記憶力、作曲力が増大します。譜読みが早い。そして一度譜読みをしたものは間違えない。暗譜が早いなどのメリットがあります。

(これに関しては諸説あります。たなかすみことにしきさゆりの見解です。反論は受け付けません。管理人より)

僅かの期間しか習得できない、特に保護者の支援がなければ習得が難しくなります。絶対音感は、保護者、教師から与えることが出来る貴重な知的財産です。大切なお子様にこの知的財産を持たせてあげるよう努力をいたしましょう。

 

いろおんぷ法について  

子供に絶対音感を習得させるためには、音への経験を多く重ねることが必要です。その音源は大体ピアノなどの鍵盤楽器を使用すると良いでしょう。絶対音感とはただ音を聴かせるだけでなく、子供自ら自分の頭と指で演奏することによって脳にインプットされていくものです。3歳半という幼い子供にどうやってインプットさせるかが大きな課題です。

その課題を解決しているのが、たなかすみこ先生考案の「いろおんぷ」による習得の方法です。これを「いろおんぷ法」と言います。

幼い子供ほどカラフルな色に興味を示すことは歴然としています。子供の使用するもの、特におもちゃはとてもカラフルです。

「いろおんぷ法」は幼い子供に「楽器演奏を容易にした」「画期的な方法」です。

 

「いろおんぷ法」の教材の使い方

1.音に色付けをする。「いろおんぷ法」は固定ドで考えます。

ドは赤色(レッ)、レは黄色(モン)、ミは緑色(どり)、ファは橙色(ファイト)ソは空色(らいろ)ラは紫色(むさき)、シは白(ろ)

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2.楽譜(白抜きにした音符)を自分で色をぬる。筆記具は色鉛筆が適当。最近では「消せる色鉛筆」があるので、それを使うと間違えた時に訂正がしやすいので、お薦めします。

白抜きにした音符の楽譜の例

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色塗りをした楽譜。色塗りはレッスンをする生徒さん自身に塗らせてください。

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(いろおんぷの教材の絵はぬりえになっているので、生徒自身で塗ることが出来ます。この「ぬりえ」も楽しい。喜んで「ぬりえ」をする生徒も多いです。管理人)

3.子供の指に「ドレミファソ」の色指輪をする。(毛糸、モール、色ゴムなど)

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(管理人の手なので、ごつくてすみません。<m(__)m>)

4.ピアノなどの奥に「色カード」を立てる。

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鍵盤の奥に立ててあるのが「色カード」です。

 

以上の3つを合わせると簡単に曲を弾くことが出来ます。子供が自分で弾くことで、喜びが増し、音楽が楽しいことになっていきます。(続く)

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天竜楽器エテルナ音楽教室にたなかすみこと一緒に指導者講習会をするにしきさゆり。1960年代?(昭和40年前後?)

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